
個人再生について気になっていませんか?
「個人再生って何?自己破産と何が違うの?」
「任意整理では返済しきれない。でも家を失いたくない」
「ギャンブルや浪費が原因でも使えるの?」
「仕事に支障が出るなら自己破産は困る」
「自分でも使える手続きなのか知りたい」
このようなお悩みをお持ちのあなたのために、弁護士歴15年以上・債務整理案件を数多く取り扱ってきた弁護士が、個人再生という手続きをわかりやすく解説します。
結論からお伝えすると、個人再生とは、裁判所の認可を得て借金の総額を大幅に減額し、原則3年間(最長5年)で分割返済する手続きです。民事再生法に基づいた裁判手続きであり、減額後の借金を完済すれば、残りの債務は法律上免除されます。
自己破産と比べて「財産を守りながら再出発できる」手続きとして、特に住宅ローンを抱える方や、職業・資格の関係で自己破産を避けたい方に選ばれています。
個人再生でできること
個人再生を利用すると、次のことが可能になります。
借金を大幅に減額できる
個人再生では、借金の総額や手持ち財産に応じて、返済すべき金額が決まります。詳しい計算方法については「個人再生の返済額はどう決まる?最低弁済額の計算方法」で説明していますが、借金の総額・手持ち財産(清算価値)の状況によっては、大幅な減額が見込まれる場合があります。
住宅を守れる可能性がある
住宅ローンが残っている場合でも、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を利用することで、引き続き住宅ローンを返済しながら自宅を守れる可能性があります。「家を守りたい」という方にとって、個人再生が選択肢になる大きな理由のひとつです。詳しくは「個人再生で住宅ローンはどうなる?住宅資金特別条項をわかりやすく解説」をご参照ください。
職業・資格の制限がない
自己破産では、手続き中に弁護士・保険外交員・警備員などの特定の職業・資格が一時的に制限されます。一方、個人再生にはこのような制限がありません。仕事を続けながら借金を整理できます。
原則として借金の原因は問われない
個人再生には、自己破産のような「免責不許可事由」という制度がありません。ギャンブルや浪費が原因の借金であっても、手続き上の要件を満たしていれば個人再生を利用することができます。
個人再生に向いている人
次のような方に、個人再生という選択肢が適している場合があります。
- 任意整理だけでは返済しきれないほど借金が膨らんでいる
- 住宅ローンを払いながら自宅を守りたい
- 自己破産すると職業・資格に支障が出る
- ギャンブルや浪費など免責不許可事由に当たる事情があり、自己破産では免責に不安がある
- 財産(車・生命保険など)を可能な範囲で手元に残したい
逆に、収入がない・収入が不安定で再生計画の履行が見込めない場合には、個人再生の利用が難しいことがあります。
個人再生の2種類:小規模個人再生と給与所得者等再生
個人再生には2種類の手続きがあります。
| 小規模個人再生 | 給与所得者等再生 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 継続的に収入がある個人(自営業者・会社員を問わない) | 給与など定期収入があり、収入変動が小さい人 |
| 収入の安定性 | 継続または反復した収入があればよい | 給与など定期的な収入があり、その変動の幅が比較的小さい人(実務上の目安として、年収換算で5分の1未満の変動に収まっているケースが多い。これを超える場合でも事情によっては利用できることがある) |
| 債権者の同意 | 書面決議あり(債権者の過半数・債権額の過半数が反対すると否決) | 債権者の同意不要 |
| 返済額の基準 | 最低弁済額・清算価値のいずれか高い方 | 小規模の基準に加え、原則として可処分所得の2年分以上の支払いが必要 |
| 実務上の選択 | 会社員でも多くの場合こちらを選択 | 返済額が増える傾向があり選択されにくい |
実務上は、会社員の方も含めて小規模個人再生が選ばれるケースがほとんどです。給与所得者等再生は債権者の同意が不要というメリットがある一方、可処分所得の2年分以上という要件が加わるため、返済総額が増えることが多いためです。
個人再生のデメリット・注意点
個人再生にはメリットばかりではありません。あらかじめ理解しておくべき点をお伝えします。
返済は続く
自己破産と違い、借金が全額免除されるわけではありません。減額後の金額を、原則3年間(最長5年)にわたって返済し続ける必要があります。
信用情報に登録される(いわゆるブラックリスト)
個人再生を行うと、信用情報機関に一定期間、事故情報が登録されます。その間は、クレジットカードの新規取得や新たな借り入れが難しくなります。登録期間については「自己破産と個人再生、ブラックリストの期間は実は同じです」をご参照ください。
官報に掲載される
個人再生を行うと、官報(国の広報)に氏名・住所が掲載されます。一般の方が日常的に官報を確認することはほとんどないため、これが直接的な問題になることはまれですが、知っておくべき事実です。
小規模個人再生では書面決議がある
小規模個人再生では、再生計画案について債権者による書面決議があります。債権者数の2分の1以上、または債権額の2分の1を超える不同意があると、再生計画案は可決されず、手続が廃止されます。
| 反対債権者数 | 反対債権額 | 結果 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 半数未満 | 2分の1以下 | ✅ 可決 | 2要件をともに満たす場合のみ可決 |
| 半数以上 | 問わない | ❌ 否決 | 反対債権者数が半数以上で否決 |
| 問わない | 2分の1超 | ❌ 否決 | 反対債権額が2分の1超で否決 |
ただし、実務上、否決されるケースはそれほど多くはありません。万が一否決された場合でも、給与所得者等再生に切り替えて再申立てを行うという対応が可能な場合があります。
よくあるご質問
Q1. 個人再生は誰でも使えますか?
いいえ、利用するためには一定の要件があります。主な要件は、①住宅ローンを除いた借金の総額が5,000万円以下であること、②将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みがあること、の2点です。収入がない方や、収入が不安定で返済計画の履行が見込めない方は利用が難しい場合があります。詳しくは「個人再生できる条件とは?収入の基準と不認可リスク」をご覧ください。
Q2. ギャンブルや浪費が原因でも個人再生できますか?
はい、利用できます。個人再生には自己破産のような「免責不許可事由」という制度がなく、原則として借金の原因そのものが個人再生手続の可否を左右することはありません。ギャンブルや浪費が原因であっても、手続き上の要件を満たしていれば個人再生を利用することができます。ただし、手続き中にギャンブルや浪費を続けることは、再生計画の認可に悪影響を与える場合がありますのでご注意ください。
Q3. 自己破産と個人再生、どちらを選ぶべきですか?
状況によって異なります。借金を全額免除したい・財産がほとんどない、という方には自己破産が向いていることが多いです。一方、住宅を守りたい・職業上の資格制限を避けたい・ギャンブルや浪費など免責に不安がある、という方には個人再生が向いている場合があります。詳しくは「自己破産か個人再生か迷ったときの判断基準」をご参照ください。
Q4. 家族や職場に知られますか?
裁判所や弁護士から職場に通知が届くことは原則ありません。官報への掲載はありますが、一般の方が日常的に官報を確認することはほとんどなく、これが直接の原因で発覚するケースはまれです。ただし、連帯保証人がいる場合は、保証人に対して債権者から請求が来る場合があります。
Q5. 手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?
弁護士に相談・依頼してから、再生計画の認可決定が出るまでおおむね半年から1年程度かかります。その後、原則3年間(最長5年)の返済期間が続きます。全体のスケジュールについては、後日詳しく解説する予定です。
弁護士としてお伝えしたいこと
15年以上、数多くの債務整理事件を担当してきた中で見てきた個人再生を選ぶ方の事情はさまざまです。
もっとも多いのは「任意整理では毎月の返済額がどうしても捻出できない」というケースですが、それ以外にも印象に残る理由があります。
ひとつは、ギャンブルや浪費の程度が重く、自己破産では免責が認められるかどうかに不安がある、というケースです。個人再生には免責不許可事由という制度がないため、このような事情があっても手続き上の要件を満たしていれば利用できます。借金の原因について後ろめたさを感じている方も、まずは相談していただければ、状況に応じた選択肢を一緒に整理することができます。
もうひとつは、保険外交員や警備員など、自己破産の手続き中に職業・資格が一時的に制限される職業に就いている方のケースです。「手続き中であっても仕事を続けたい」という希望がある場合、個人再生はその選択肢になります。
ただし、個人再生はあくまで「減額した借金を3年間返し続ける」手続きです。返済の見通しが立つかどうか、財産の状況、借金の内訳など、さまざまな要素を踏まえた上で、あなたの状況に本当に合った手続きを選ぶことが大切です。「個人再生しかない」と思い込まず、まずは一度相談して、選択肢を整理することをお勧めします。
まずは状況を整理することから始めましょう
「個人再生を使えるかどうか、自分ではよくわからない」という方も、まずはご相談ください。
借金の総額・収入・財産の状況などをお聞きした上で、個人再生が向いているかどうか、他の手続きと比べてどうかを、一緒に整理します。初回相談は無料です。
あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士
大阪弁護士会所属
【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。