コラム
2026/04/13 2026/04/11

任意整理中に返済できなくなったら?弁護士が解説する対処法

法律の専門家があなたの疑問にお答えします

 


返済が苦しくなってきていませんか?

「任意整理で毎月の返済が始まったけれど、最近支払いが苦しくなってきた」
「転職して収入が変わり、このままでは払い続けられないかもしれない」
「一度弁護士に相談したのに、また迷惑をかけてしまうと思うと連絡しにくい」

このような気持ちを抱えながら、一人で悩んでいないでしょうか。

結論からお伝えすると、任意整理の途中で返済が難しくなっても、対処する方法はあります。大切なのは、問題を抱え込まず、早めに弁護士に相談することです。


任意整理の途中で払えなくなる、よくあるきっかけ

任意整理が成立した後、しばらくは順調に返済を続けていても、生活環境が変わることで返済が難しくなるケースがあります。

私がこれまでに経験した中で、特に多いのは次のような状況です。

転職・退職による収入の変化
任意整理の交渉中、または返済開始後に転職や退職をし、収入が変動することがあります。転職先が決まる前の空白期間や、給与水準が変わることで、毎月の返済額を確保するのが難しくなるケースです。

病気やけがによる収入の減少
体調を崩して働けなくなったり、入院や通院が続いたりすることで、収入が大幅に下がる場合があります。医療費の負担が加わり、さらに厳しい状況にケースもあります。

生活費の増加
子どもの進学、家族の介護、引越しなど、予期していなかった出費が重なることがあります。収入は変わらなくても、支出が増えれば返済の余裕はなくなります。

やむを得ない借入れの再発
収入が乏しい状況が続き、生活のためにやむを得ず新たに借入れをしてしまうこともあります。後ほど詳しく触れますが、こうした場合でも再度相談に来ていただくことで対処できます。


払えなくなったとき、放置するとどうなるか

返済が難しいと感じたとき、最も避けてほしいのが「黙って放置する」ことです。

任意整理は、債権者(貸金業者など)との合意のもとで分割返済の計画を進める手続きです。返済が滞ると、その合意が崩れ、債権者から一括返済を求められる可能性があります。また、受任通知によって止まっていた督促が再開したり、訴訟・差押えへと発展するリスクもあります。

問題が深刻になるほど、対処の選択肢は狭まります。逆に言えば、早めに相談すれば選べる方法が増えます


払えなくなったときの主な対処法

1. 債権者との条件変更(再交渉)

収入の変化が一時的なものであれば、弁護士を通じて債権者に返済条件の見直しを求めることができる場合があります。毎月の返済額を減らしてもらったり、返済期間を延長したりする交渉です。

ただし、債権者がこれに応じるかどうかは相手方の判断によりますし、再交渉に応じてもらいにくいケースもあります。まず現状を弁護士に伝え、可能性を検討することが第一歩です。

2. 個人再生への切り替え

収入はあるが、任意整理の返済額が多すぎて生活が成り立たない場合は、個人再生という選択肢があります。

個人再生は裁判所を通じた手続きで、借金の元本を大幅に減額したうえで、原則3年(最長5年)で分割返済する制度です。任意整理では元本は減らないのに対し、個人再生では元本そのものを圧縮できるため、月々の負担が大きく軽減される可能性があります。

持ち家がある場合は「住宅資金特別条項」を利用して自宅を守りながら手続きを進めることもできます。

詳しくは「債務整理の選び方(任意整理・個人再生・自己破産)」もあわせてご参照ください。

3. 自己破産への切り替え

収入が継続的に確保できず、返済そのものが困難な状況であれば、自己破産を検討することになります。

自己破産は、借金の返済義務を法的に免除してもらう手続きです。生活再建のための「仕切り直し」として位置づけられており、免責が認められれば返済義務はなくなります。

「自己破産をすれば人生が終わる」と思っている方もいらっしゃいますが、そのようなことはありません。詳しくは「自己破産したら人生終わりですか?」で解説しています。


「また相談していいのか」と思っているあなたへ

私はこれまでの相談の中で、一度任意整理をして完済された後、数年経って再び相談にいらっしゃった方の相談を受けたことがあります。

その方は泣きながら、「二度目になってしまって申し訳ない」とおっしゃっていました。浪費などではなく、収入が乏しくてやむを得ず借入れに頼ってしまったということでした。

私は、特に叱るようなことはしませんでした。

事情でそうなってしまったものは、仕方がない面があります。大切なのは、それよりも、勇気を持って改めて相談してきてくれたことです。相談してもらえれば、対処はできます。二度目の任意整理も問題なく進めることができ、無事に解決に至りました。

あなたが「また迷惑をかける」「また同じことを繰り返してしまった」と自分を責めて連絡をためらっているのであれば、ぜひ声に出して伝えたいと思います。何度でも相談に来ていただいて構いません。


転職・収入変化が予想されるときは、事前に一言を

少し先の話になりますが、任意整理の返済中に転職を考えている方へもお伝えしたいことがあります。

転職の前後は収入が不安定になりやすく、返済原資の確保が難しくなるタイミングです。転職が決まってから慌てて相談に来るのではなく、転職を検討し始めた時点で弁護士に一言相談してください

「転職を考えているが、返済は続けられるか」「今の返済計画のまま問題ないか」こうした相談を事前にしておくことで、仮に収入が下がっても落ち着いて対処できます。問題が起きてから動くより、問題が起きる前に動く方が、選べる選択肢がずっと多くなります。


よくあるご質問

Q. 任意整理の返済が1〜2回滞ってしまいました。もう取り返しがつかないですか?

A. 取り返しがつかないわけではありませんが、延滞が続くと期限の利益を喪失し、残額の一括返済を求められるリスクが高まります。まず、ご自身で債権者に連絡し、支払いが遅れる事情を伝えてみてください。事前に連絡をすることで、多少の遅れであればそのまま分割返済を継続してもらえる場合があります。それでも解決が難しい場合は、弁護士への相談をご検討ください。なお、任意整理の分割合意が成立した後は弁護士が辞任しているケースが多く、再度依頼する場合は改めて費用が発生することがあります。いずれにせよ放置することだけは避けてください。

Q. 返済が苦しくなってきましたが、個人再生や自己破産に切り替えると何か不利益はありますか?

A. 手続きを切り替えることで、信用情報機関への登録(いわゆるブラックリスト)の内容が変わる場合があります。ただし、登録期間は任意整理も個人再生・自己破産も概ね同程度です。詳しくは「自己破産と個人再生のブラックリスト期間」をご参照ください。

Q. 転職したばかりで収入が安定していません。個人再生はできますか?

A. 個人再生には、継続的に収入を得られる見込みがあることが要件の一つです。転職直後であっても、安定した収入が見込める状況であれば申立てができる場合があります。まずは現状をお知らせください。

Q. 任意整理の途中で返済できなくなった場合、債権者から直接取り立てが来ますか?

A. 弁護士に依頼している間は、貸金業法第21条第1項第9号およびサービサー法第18条第8項に基づき、債権者は弁護士への連絡を経ずに直接取り立てを行うことができません。ただし、受任関係が終了した場合や銀行・個人からの借入れには同規定の適用がない点にご注意ください。

Q. 費用が払えない状況でも相談できますか?

A. まずはご相談ください。弁護士費用については分割払いに対応している場合があります。また、法テラス(日本司法支援センター)の利用により費用の立替制度を使える場合もあります(利用には資力基準を含む一定の要件があります)。詳しくは「債務整理の弁護士費用はいくら?」をご参照ください。


弁護士としてお伝えしたいこと

任意整理は、決して「一度やったら終わり」の手続きではありません。生活は変わります。収入も変わります。そのたびに、状況に合った対処を考えていく必要があります。

切り替えのタイミングとして私が意識しているのは、毎月の返済合計額が収入や生活状況に照らして明らかに重くなってきたと感じるときです。そうした変化に気づいたら、一人で判断せずに早めにご連絡ください。

「また相談して申し訳ない」という気持ちは、どうか横に置いておいてください。相談していただければ、必ず一緒に考えます。


まずは状況を整理することから始めましょう

返済が苦しくなっているとき、一番つらいのは「どうすればいいかわからない」という不安ではないでしょうか。

あゐ法律事務所では、まず現在の状況をていねいにお聞きしたうえで、今できる選択肢をわかりやすくお伝えしています。任意整理の途中であっても、二度目の相談であっても、構いません。

勇気を出して、一度ご連絡ください。

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あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士たけうちよしじ
大阪弁護士会所属

【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。

 

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