
カードのことが心配で、踏み出せていませんか?
「任意整理をしたら、クレジットカードが全部使えなくなるの?」
「整理しないカードはそのまま使い続けられる?」
「カードが使えなくなったら、日常生活が不便になりそうで不安…」
このような不安を抱えて、相談をためらっている方は少なくありません。
結論からお伝えすると、任意整理の対象にしたカードは、原則として解約・利用停止になります。一方、対象にしなかったカードはそのまま使い続けられる場合があります。ただし、カード会社による信用情報の照会タイミングによっては更新が止まるリスクがあります。
このページでは、任意整理とクレジットカードの関係について、15,000件超の債務整理を扱ってきた弁護士がわかりやすくお伝えします。
任意整理の対象にしたカードはどうなるか
任意整理の手続きを弁護士に依頼すると、弁護士から各債権者へ「受任通知」が送付されます。受任通知を受け取った債権者は、それ以降、直接の取立て・督促を行うことができなくなります(貸金業法第21条第1項第9号、債権管理回収業に関する特別措置法第18条第8項。ただし、銀行や個人からの借入れにはこれらの法律の適用がありません)。
クレジットカード会社も同様で、受任通知を受け取った時点で、そのカードの利用は停止されます。その後、弁護士との交渉で返済条件が整い、手続きが進んでいくにつれて、カードは解約となるのが通常の流れです。
つまり、任意整理の対象にしたカードは、手続きの早い段階で利用できなくなるとお考えください。
対象にしなかったカードはどうなるか
任意整理の大きな特徴のひとつは、整理する債権者を自分で選べる点にあります。たとえば、「A社とB社の借金は整理するが、C社のカードはそのまま使い続けたい」という選択が可能です。
では、対象にしなかったカード会社は、どう反応するのでしょうか。
私がこれまで扱ってきた案件では、対象外にしたカードがそのまま使い続けられているケースは少なくありません。 カード会社の立場から考えると、問題なく支払いをしている利用者のカードをあえて止める理由はなく、むしろ止めてしまうと利息収入が得られなくなる、という判断があると思われます。
ただし、断言はできません。
カード会社は定期的に信用情報機関に照会を行っており、その際に任意整理の記録が登録されていることが判明した場合、更新のタイミングで利用停止・解約になるリスクがあります。「しばらくは使えていたが、更新時に止まった」というケースが起こり得ます。
対象外のカードについては、「使えなくなる可能性がある」と頭に入れておきながら、引き続き利用していくというのが現実的なスタンスです。
信用情報はいつ回復するか
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報(いわゆる「ブラックリスト」)が登録されます。この情報が残っている間は、新たなクレジットカードの申し込みや審査に通ることは難しくなります。
登録期間の目安は以下のとおりです(機関・内容によって異なります)。
| 機関 | 登録期間 | 起算点 |
|---|---|---|
| CIC | 約5年 | 完済日。なお、任意整理の申請・手続きの事実そのものはCICには登録されません |
| JICC | 約5年 | 完済日(契約日によって異なる場合があります) |
| KSC | 約5年 | 代位弁済がある場合は代位弁済日から。任意整理の事実自体は登録されない場合があります |
※CIC・JICCについては、任意整理の申請・手続きの事実そのものは登録されない場合があります。登録されるのは主に延滞の記録であり、完済から約5年が目安です。KSCについては、代位弁済がある場合は代位弁済日が起算点となります。また、自己破産の場合は破産手続開始決定から、個人再生の場合は再生手続開始決定から、それぞれ7年とされています。詳しくは「自己破産と個人再生、ブラックリストの期間は実は同じです」をご参照ください。
この期間が過ぎれば、信用情報上の記録は消え、クレジットカードの審査も通りやすくなります。任意整理を選んだからといって、一生カードが使えなくなるわけではありません。
整理中・整理後に使える代替手段
任意整理の手続き中や、信用情報が回復するまでの間、クレジットカードが使えなくても、日常生活を送る手段はあります。
デビットカード
銀行口座と連携したデビットカードは、利用した金額が即座に口座から引き落とされるしくみです。クレジット機能がないため、信用情報とは無関係に発行を受けることができます。
オンラインショッピングや公共料金の支払いなど、クレジットカードに近い使い方ができるため、代替手段として活用しやすいといえます。
プリペイドカード(ETCカードを含む)
事前にチャージして使うプリペイドカードも、信用情報の審査なく利用できます。
特にETCについては、高速道路の利用に通常のETCカードが使えなくなることがあります。この場合、ETCパーソナルカード(NEXCO各社等の高速道路会社が提供するデポジット型のETCカード)を利用する方法があります。一定のデポジット(保証金)を事前に預けることで発行されるため、信用情報の審査は不要です。車を日常的に使う方には、特に有用な手段です。
現金・電子マネー
バーコード決済や交通系ICカードなど、銀行口座などからの事前チャージ型の電子マネーは審査不要で利用できます。現金との組み合わせで、多くの場面に対応することができます。
よくあるご質問
Q1. 任意整理の対象にしなければ、カードをずっと使い続けられますか?
A. 使い続けられる場合がありますが、保証はありません。カード会社が信用情報を照会した際に任意整理の記録が判明した場合、更新のタイミングで止まることがあります。「使えなくなる可能性がある」と念頭に置いておくことをおすすめします。
Q2. 任意整理後、何年でクレジットカードを作れるようになりますか?
A. 信用情報の登録が消えるのは、おおむね完済から5年が目安です。ただし、完済後すぐに審査が通るとは限らず、登録が完全に消えるタイミングには機関ごとにばらつきがあります。時期については弁護士に個別に確認されることをおすすめします。
Q3. 家族カードを使えますか?
A. 状況によって異なります。
①あなたが家族カードの「利用者」として使っているケース
信用情報は個人ごとに管理されており、あなたが任意整理をしても本会員(家族)の信用情報には影響しません。本会員が支払いを滞りなく続けている限り、そのカードも家族カードも引き続き利用できます。
②あなたが「本会員」として家族に家族カードを発行しているケース
本会員であるあなたが任意整理の対象にしたカードは利用停止・解約となります。この場合、そのカードに紐づく家族カードも同時に使えなくなりますので、家族への事前の説明が必要です。
Q4. 任意整理をしても、デビットカードは作れますか?
A. デビットカードは銀行口座に紐付いたカードであり、クレジット機能を持たないため、信用情報の審査なく利用できます。任意整理後でも新たに作ることができます。
Q5. 整理中にどうしてもカードが必要な場合はどうすればいいですか?
A. デビットカードやプリペイドカード、電子マネーで多くの場面に対応できます。ETCの利用についてはETCパーソナルカードが選択肢になります。具体的な対応については、担当弁護士にご相談ください。
弁護士としてお伝えしたいこと
「任意整理をしたらカードが全部使えなくなる」と思い込んで、相談をためらっている方に出会うことがあります。
確かに、整理の対象にしたカードは使えなくなります。でも、だからといって生活が立ち行かなくなるかというと、そうではありません。デビットカードや電子マネーなど、今は代替手段も充実しています。
私が多くの依頼者の方から伺ってきた実感として、手続きが終わって返済の見通しが立った安心感のほうが、カードが使えなくなる不便さをはるかに上回るというものがあります。
任意整理は、借金を帳消しにするものではありません。利息をカットして、返済できる金額に整理し直す手続きです。地道ではありますが、確実に完済に向かう道です。
カードのことが気になって踏み出せないでいるなら、まずは一度、現状を整理することから始めてみてください。
まずは状況を整理することから始めましょう
クレジットカードへの影響は、借入れの状況や使っているカードの種類によっても異なります。「自分の場合はどうなるのか」を具体的に知りたい方は、弁護士への相談が一番の近道です。
あゐ法律事務所では、多数の債務整理案件の経験をもとに、一人ひとりの状況に合った方法をご提案しています。相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士
大阪弁護士会所属
【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。