コラム
2026/04/16 2026/04/11

ギャンブルが原因でも自己破産できますか?免責の可能性を弁護士が解説

法律の専門家があなたの疑問にお答えします

ギャンブルで作った借金、自己破産を諦めていませんか?

「ギャンブルで借金を作ってしまった」
「自己破産しても、どうせ免責されないと思っていた」
「恥ずかしくて、誰にも相談できなかった」

こうした思いを抱えて、一人で苦しんでいる方がいます。

結論からお伝えすると、ギャンブルが原因の借金でも、自己破産で免責を受けられる可能性は十分あります。

ギャンブルは確かに「免責不許可事由」に該当します。しかし、日本の破産法には「裁量免責」という制度があり、受任後に適切に手続きを進めることで免責が認められた実例があります。

私はこれまで15,000件を超える債務整理案件に携わってきましたが、私の経験上、ギャンブルが原因であることを理由に免責不許可となった事案はありません。

諦める前に、この記事をぜひ最後までお読みください。


ギャンブルは「免責不許可事由」に該当する

自己破産の手続きにおいて、裁判所は申立人に「免責」を許可するかどうかを判断します。免責が下りると、原則として借金の支払義務が消滅します。

しかし、一定の事由がある場合は免責が認められないことがあります。これを免責不許可事由といい、破産法第252条第1項に列挙されています。

ギャンブルや競馬・パチンコなどの射幸行為による過大な出費は、同条第1項第4号の「浪費または射幸行為」として、免責不許可事由に該当します。

つまり、「ギャンブルが原因=免責されない」と思われがちな理由は、ここにあります。しかし、これで話が終わりではありません。


「裁量免責」という制度がある

破産法第252条第2項には、次のような規定があります。

免責不許可事由があっても、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、裁判所は裁量で免責を許可できるというものです(条文の要旨)。

これを「裁量免責」といいます。

実務上、ギャンブルが原因の破産申立てであっても、この裁量免責制度によって免責許可が認められた実例があります。「免責されない」のではなく、「免責されるための条件がある」と理解してください。


裁量免責が認められるために重要なこと

裁判所や破産管財人が重視するのは、主に次の点です。

受任後にギャンブルをきっぱりとやめること

弁護士に依頼した後、ギャンブルを継続していれば、更生の意志がないと判断されます。反対に、受任後に明確にやめていることが確認できれば、それ自体が「更生への第一歩」として評価されます。

通帳の入出金履歴には、ネット馬券の購入や各種ギャンブルサービスへの支出が正確に記録されています。「申告しなければわからない」と思うかもしれませんが、弁護士も破産管財人も通帳を精査します。隠すことは難しく、隠そうとすること自体がマイナスになります。

受任後の通帳に履歴がなくなることが、最もシンプルで有効な「やめた証明」です。

反省の意志を示すこと

審尋(裁判官または管財人との面談)において、なぜギャンブルに依存してしまったか、現在はどのような状態か、今後どう生活を立て直すつもりかを、誠実に話すことが求められます。

言い訳や責任転嫁はかえって印象を悪化させます。正直に、そして具体的に話せる準備を、弁護士と一緒に行います。

家計に余剰が生じていること

ギャンブルをやめることで生活費の無駄な出費がなくなり、家計に余裕が生まれます。収入と支出のバランスが改善された状態を示せると、「経済的更生の見込みがある」という評価に繋がります。

ギャンブルへの支出が月に数万円あったとすれば、それがなくなるだけで生活の立て直しがぐっと楽になります。これは私が依頼者に必ず伝えることです。


「どうせバレない」は通用しない:通帳の精査について

管財事件(少額管財を含む)では、破産管財人が申立人の通帳を詳細に確認します。

ネット馬券(JRAのIPAT等)の購入、競輪・競艇などのネット投票サービスへの入出金など、口座から直接引き落とされるものはサービス名が通帳に記録されます。私がこれまで対応してきた案件の中にも、数年分の通帳履歴にわたって膨大なギャンブル関連の出入りが記録されているケースがありました。

申立書類に「浪費の原因:ギャンブル(競馬等)」と正直に記載し、その内容を申立時に弁護士と整理しておくことが重要です。後から発覚するより、最初から正直に開示するほうが、手続き全体の信頼性を高めます。


管財事件になる可能性について

ギャンブルが免責不許可事由に該当するため、多くの場合は管財事件(または少額管財)として処理されます。同時廃止(管財人が関与しない簡易な手続き)ではなく、破産管財人が選任されて調査が行われます。

管財事件になると、弁護士費用に加えて予納金(裁判所に納める費用)が別途必要になります。大阪地裁の管財事件(弁護士代理)の場合、破産管財人に対する引継予納金は現在約21万6,000円が目安です。ただし事案の内容によって異なりますので、詳細は相談時にお伝えします。

この費用を事前に把握したうえで、弁護士と一緒に準備を進めることが大切です。


よくあるご質問

Q1. 金額が大きく、長期にわたってギャンブルを続けていた場合でも免責されますか?

金額の大小や期間の長短は、免責の可否に直接影響することがあります。金額が大きいことや期間が長いことだけを理由に断念する必要はありません。受任後にギャンブルをやめ、誠実に手続きを進めることが重要です。まずはご相談ください。

Q2. ギャンブル以外の借金(生活費の不足など)も合わさっている場合はどうなりますか?

借金の原因が複数ある場合もよくあります。ギャンブルが一因であっても、生活苦や収入減少が重なっているケースは少なくありません。申立書にはすべての原因を正直に記載したうえで、総合的に判断されます。

Q3. 家族にギャンブルのことを知られたくないのですが、手続き上、家族にわかってしまいますか?

自己破産の手続きにおいて、家族への通知は原則として行われません。ただし、同居家族の収入証明が必要になる場合があること、また管財事件では郵便物の転送措置が取られることがあります。ご家族への影響については、相談時に個別に確認させてください。

Q4. 相談するのが恥ずかしくて、なかなか踏み出せません。

ギャンブル依存による借金の相談は、決して珍しいことではありません。私はこれまで数多くの方の相談を受けてきましたが、勇気を持って相談に来てくださった方の多くが、手続きを終えた後に「あのとき相談してよかった」とおっしゃいます。相談することと依頼することは別です。まずは話すだけでも構いません。


弁護士としてお伝えしたいこと

ギャンブルによる借金を抱えた方からの相談を受けるとき、私が最初にお伝えすることがあります。

「通帳を見れば、何があったかは一目でわかります。隠す必要はありません。大切なのは、これからどうするかです」

受任後にギャンブルをやめることは、免責のためだけではありません。借金がなくなっても、ギャンブルへの依存が続けば、また同じ状況に戻ってしまいます。浪費は経済的更生にとってマイナスです。しかし、それをやめるだけで、生活の立て直しに余裕が生まれます。これは私が実務の中で何度も確認してきた事実です。

免責が下りた後、「本当にありがとうございました」と言ってくださる方の言葉は、弁護士としての仕事の意味を改めて感じさせてくれます。

ギャンブルが原因であることを正直に話してくれた方が、きちんと手続きを終えて再出発できた。そうした事例を積み重ねてきた経験から、諦める必要はないとお伝えできます。

ただし、個々の案件の状況によって結果は異なります。「必ず免責される」と断言することはできません。まずはご相談のうえ、あなたの状況を一緒に整理させてください。


まずは状況を整理することから始めましょう

「ギャンブルが原因でも相談していいのか」と迷っている方に、改めてお伝えします。

相談は、問題を解決するためのスタートラインです。ギャンブルによる借金であっても、適切な手続きを踏むことで、免責を受けられる可能性は十分あります。

状況を整理せずに諦めることは、もったいないことです。

あゐ法律事務所では、債務整理に関する初回相談を受け付けています。ギャンブルが原因の借金についても、丁寧にお話を聞かせていただきます。一人で抱え込まず、まずはご連絡ください。

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あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士たけうちよしじ
大阪弁護士会所属

【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。

 

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