コラム
2026/04/19 2026/04/12

自己破産すると家族に影響はある?連帯保証人・配偶者への影響を解説

法律の専門家があなたの疑問にお答えします

家族への影響が心配で、相談できずにいませんか?

「自分が自己破産したら、配偶者の信用情報まで傷がつくのではないか」
「子どもの就職や進学に影響が出るのではないかと不安でしかたない」
「親が連帯保証人になっているが、請求がいってしまうのか」
「できれば家族には内緒で手続きを進めたい」

このような不安を抱えて、相談することをためらっている方は少なくありません。

結論からお伝えすると、自己破産の影響は原則として本人のみです。配偶者や子どもの信用情報に傷がつくことはありませんし、戸籍に記載されることもありません。

ただし、連帯保証人が家族の場合は、別に考える必要があります。 この点については、正確に理解しておいていただく必要があります。

この記事では、家族への影響について、正確な情報と実務の実態をお伝えします。


自己破産の影響は原則として本人だけです

まず、「家族への影響はない」という原則を確認しておきます。

配偶者の信用情報には影響しない

自己破産をしても、配偶者の信用情報(いわゆる「ブラックリスト」)には何の影響も生じません。信用情報はあくまで個人ごとに管理されており、夫婦であっても互いの情報は独立しています。

配偶者が自分名義でクレジットカードを作ることや、ローンを組むことは、自己破産後も引き続き可能です。

戸籍・住民票に記載されない

自己破産の事実は、戸籍や住民票に記載されることはありません。第三者が役所で取得できる公的書類から、手続きをしたことが知られることはありません。

子どもの就職・進学への影響はない

子どもの就職や進学試験において、親が自己破産をしていることが選考結果に影響することはありません。信用情報機関(CIC・JICC・KSC)は金融機関の与信審査目的でのみ情報を提供しており、一般企業や学校は加盟すること自体ができません。制度上、企業や学校が親の信用情報を確認することはできないしくみになっています。

ただし、一点だけ注意が必要な場面があります。自己破産をした親は信用情報に事故情報が登録されるため、子どもの奨学金の連帯保証人になれない場合があります。もっとも、日本学生支援機構などの奨学金には機関保証制度があり、一定の保証料を支払うことで親が保証人にならずに奨学金を利用することが可能です。お子さんの進学が近い方は、この点もあわせてご確認ください。


連帯保証人が家族の場合は、別に考える必要があります

原則を確認したうえで、最も注意が必要な点をお伝えします。それが連帯保証人への影響です。

主債務者が破産すると保証人に請求がいくしくみ

借金に連帯保証人がついている場合、主債務者(借りた本人)が自己破産をすると、債権者はその借金の全額を連帯保証人に請求することができます。

自己破産の手続き中は、弁護士が受任通知を各債権者に送付することで取立て・督促が止まります(貸金業法第21条第1項第9号、債権管理回収業に関する特別措置法第18条第8項)。ただし、この効果が及ぶのは貸金業者・債権回収会社に対してのみであり、銀行や個人からの借入れには適用されません。また、あくまで主債務者本人への取立てを止める効果であり、連帯保証人への請求は止まりません。

つまり、親や兄弟が連帯保証人になっている借金がある場合、本人が自己破産をした段階で、その家族に対して請求がいく可能性があります。

家族が保証人の場合の実務的な対処法

この状況に対して、実務上最も多く取る対応が同時受任です。

本人と連帯保証人である家族を同時に受任し、本人の自己破産手続きと並行して、家族の側も任意整理または自己破産の手続きを進める方法です(家族の事情により個人再生が適している場合もあります)。

保証人となっている家族の経済状況によっては、任意整理で分割返済する形で解決できるケースもあります。一方で、保証債務の額が大きく自力での返済が難しい場合は、家族自身も自己破産を選択することになります。

保証人が家族であることは、手続きをためらう大きな理由になりがちです。しかし、問題を先送りにしても状況は改善しません。早期にご相談いただくことで、本人と家族の両方にとって最善の対応を一緒に考えることができます。

任意整理で保証人への影響を回避できるケース

自己破産ではなく任意整理を選ぶことで、保証人への影響を回避できる場合があります。

任意整理では、整理する債権者を選ぶことができます。連帯保証人がついている借金を整理対象から外し、その分だけ自力で返済を続けることができれば、保証人への請求は発生しません。

ただし、この方法は保証人がついている借金以外でも返済が続けられる収入がある場合に限られます。状況に応じた判断が必要ですので、弁護士にご相談ください。


同居家族への実生活上の影響

持ち家が処分される場合、家族はどうなるか

自己破産をして持ち家が処分対象になる場合、同居している家族も転居が必要になります。これは、家族への実生活上の影響として最も大きなものの一つです。

ただし、持ち家が処分されるのは管財事件に限られます。財産がほとんどない同時廃止の場合は、処分される財産自体がないため、この問題は生じません。賃貸で家を借りている場合は、そのまま住み続けることができます。

詳しくは「自己破産は同時廃止と管財事件どう違う?」をあわせてご参照ください。

家族名義の財産は原則処分されない

自己破産で処分されるのは、あくまで本人名義の財産です。配偶者名義や子ども名義の財産は、原則として処分の対象にはなりません。

ただし、実質的に本人の財産を名義だけ家族に移したと認められる場合(いわゆる「名義変更による財産隠し」)は、否認権の行使により問題になることがあります。これは財産を意図的に隠す行為であり、免責不許可事由にもなり得ます。

書類・収入証明を家族に協力してもらう場面がある

自己破産の申立てにあたっては、家計全体の収支を裁判所に報告する必要があります。同居の家族がいる場合、家族の収入証明書や通帳のコピーの提出が必要になるケースがあります。

この点からも、手続きを進めるうえで家族の協力が現実的に必要になる場面は生じます。


「家族に内緒で自己破産できるか」に正直にお答えします

多くの方が気になるこの点について、実務の経験をもとに正直にお伝えします。

手続き上、家族の協力が必要になる場面がある

前述のとおり、同居している家族がいる場合は、家計収支の報告のために家族の収入証明や通帳の写しが必要になることがあります。完全に内緒にしたまま手続きを進めることは、現実には難しいケースが多いといえます。

家族に話したほうがうまくいく理由

私が初回面談でお伝えしていることがあります。それは「できれば配偶者など近しい家族には、正直に打ち明けて協力を得た方がいい」ということです。

その理由は、単に手続き上の必要性だけではありません。

自己破産に至るような状況では、多くの場合、家計全体が苦しくなっています。本人だけが一人で抱え込んで解決しようとするより、家族が状況を共有して一緒に家計を立て直す方向に向かう方が、結果的に経済的な再建につながりやすいと感じています。

隠し続けることのストレスも相当なものです。手続きを進める中で家族に知られてしまうリスクもあります。それよりも、最初から正直に話して協力を得る方が、長い目で見たときに本人にとっても家族にとっても良い結果になることが多いと思います。

もちろん、家庭の事情はさまざまです。どのように話を進めるかも含めて、ご相談の中で一緒に考えます。


よくあるご質問

Q1. 自己破産しても、子どもの就職先に親の情報が知られることはありますか?

ありません。信用情報機関は金融機関の与信審査目的でのみ情報を提供しており、一般企業は加盟すること自体ができません。制度上、採用企業が親の信用情報を確認することはできません。なお、奨学金の連帯保証人については別途影響が生じる場合がありますが、機関保証制度を利用することで対応できます。

Q2. 官報に掲載されると、家族に知られてしまいますか?

自己破産の事実は官報に掲載されます。ただし、一般の方が日常的に特定個人の情報を官報で調べることは通常ありません。家族が偶然見つけることは、現実的にはほとんど考えられません。ただし、金融機関などが確認している場合はあります。

Q3. 夫婦で借金があり、二人とも手続きが必要な場合はどうなりますか?

夫婦で同時に受任し、それぞれの手続きを並行して進めることができます。夫婦それぞれの借金の状況に応じて、一方が自己破産・他方が任意整理という組み合わせになることもあります。まずは両方の状況をあわせてご相談ください。

Q4. 親が連帯保証人になっていますが、自己破産すると親は必ず手続きが必要になりますか?

必ずしもそうではありません。保証債務の金額・親の収入・資産の状況によっては、一括返済できるケースも、任意整理で分割返済することで対応できるケースもあります。親の状況も含めてご相談いただければ、最善の対処法を一緒に考えます。


弁護士としてお伝えしたいこと

「家族への影響が心配で相談できずにいる」というあなたに、一つだけお伝えしたいことがあります。

問題を先送りにするほど、選択肢は少なくなります。

連帯保証人の問題についても、早い段階であれば対処できる方法が残っていることがあります。手続きが進んでから「保証人にも請求がいってしまった」という状況になってから相談されるケースも、残念ながらあります。

家族への影響を最小限にするためにこそ、早めに動いていただきたいと思います。

「こんな状況でも相談していいのか」と思わなくて大丈夫です。家族のこと、保証人のこと、内緒で進められるかどうかも含めて、一緒に整理しましょう。

なお、自己破産全体の流れや費用については、今後別の記事で詳しく解説します。


まずは状況を整理することから始めましょう

自己破産が家族に与える影響は、「連帯保証人かどうか」「同居か別居か」「財産があるかどうか」によって大きく変わります。

「自分の場合はどうなるのか」を知るためには、具体的な状況をもとに確認するのが一番確実です。

まずは一度、現在の状況を整理するところから始めましょう。

お気軽にご相談ください。


あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士たけうちよしじ
大阪弁護士会所属

【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。

 

© あゐ法律事務所