コラム
2026/04/09 2026/04/05

任意整理の返済期間は何年?3年・5年の違いと認められる条件

法律の専門家があなたの疑問にお答えします


任意整理後の返済期間、気になっていませんか?

「任意整理だと何年かけて返済するの?」
「3年で返すのか、5年で返すのか、どうやって決まるの?」
「毎月いくら払えるか不安で、返済期間が長くなったらどうしよう」

こうした疑問や不安は、あなただけでなく、任意整理を検討されている多くの方が感じていることです。

結論からお伝えすると、任意整理後の返済期間は、原則として3年(36回払い)から5年(60回払い)の範囲で、債権者との交渉によって決まります。 法律上「何年で返さなければならない」という決まりはありませんが、実務上はこの範囲に収まることがほとんどです。

この記事では、15,000件超の債務整理案件を対応してきた弁護士が、返済期間の決まり方・3年と5年の違い・返済が苦しくなったときの対処法を、実務に即してお伝えします。


返済期間の基本:3年が出発点、5年が上限の目安

任意整理では、将来の利息(今後発生するはずだった利息)をカットしたうえで、残った元本を分割して返済することになります。この分割の回数・期間を、弁護士が債権者と交渉して決めます。

まず、返済期間の目安を整理します。

返済期間分割回数毎月の返済例(元本200万円の場合)
3年36回約55,000円
4年48回約42,000円
5年60回約34,000円

※将来利息カット後の元本のみでの試算。実際の金額は元本額・債権者の条件により異なります。

3年(36回払い)が交渉の出発点です。

多くの債権者は、36回払いを「標準的な和解条件」として提示します。依頼者の返済能力から見て36回払いで無理なく払えそうな場合は、原則としてこの条件での和解を目指します。

返済額が多すぎる場合は、4年・5年に延ばします。

たとえば元本が200万円の場合、3年(36回)払いでは毎月約5万5,000円の支払いが必要になります。これが家計的に難しい場合は、4年(48回)や5年(60回)での和解を交渉します。5年(60回)払いであれば、同じ200万円でも毎月約3万3,000円まで下がります。

5年を超える場合もありますが、交渉次第です。

信販会社の中には60回を超える分割(7年・8年)に応じるケースもあります。ただしこれは例外的であり、債権者がどのような会社かによって大きく異なります。5年超の交渉になる場合は、弁護士が個別の事情を踏まえて判断します。


返済期間を決める3つの要素

任意整理の返済期間は、次の3つの要素によって決まります。

① 毎月の返済可能額

最も重要な要素です。収入・支出のバランスから「毎月いくら返済に充てられるか」を基準に、返済回数を逆算します。

最も重要な要素です。収入・支出のバランスから「毎月いくら返済に充てられるか」を基準に、返済回数を逆算します。

返済可能額が少なければ分割回数を増やして(=返済期間を延ばして)毎月の負担を下げます。逆に、余裕がある場合は3年で早期に終わらせることが可能です。

また、余裕を持たせた回数で和解しておき、余裕のある月にまとめて支払うことで早期完済を目指すという方法もあります。繰り上げ返済の際の注意点は「よくあるご質問」のQ2もあわせてご確認ください。

② 元本の総額

元本が大きければ、自然と返済期間が長くなります。たとえば元本合計が100万円と300万円では、同じ毎月の支払い額でも期間が変わります。

③ 債権者の方針

債権者によって、受け入れられる分割回数の上限が異なります。消費者金融では60回(5年)を上限としているところが多く、信販会社は比較的長期の分割に応じやすい傾向があります。

銀行系カードローンの場合は、多くのケースで銀行の保証会社(消費者金融・信販会社など)が債権を引き継いで交渉窓口になります。そのため、どの保証会社が介在するかによって結果が変わることがあります。

なお、借入期間が非常に短く返済実績がほとんどない場合は、逆に36回(3年)より短い分割回数を提示されることがまれにあります。これは、債権者側が取引の実績や債務者の信用状況を踏まえて提案内容を決めるためです。「3年〜5年の範囲で収まる」というのは多くのケースでの目安であり、すべての債権者が同じ条件で応じるわけではありません。


「将来利息のカットがない」場合の注意点

任意整理の大きなメリットは、将来利息のカットです。ただし、すべての債権者が必ず将来利息のカットに応じてくれるわけではありません。

債権者によっては、これまでの返済期間や返済状況を踏まえて、将来利息のカットそのものに応じなかったり、一部カットのみに留まるケースがあります。また、銀行カードローンのように、もともとの金利が低い場合は、利息カットができても返済額の減り幅が小さいケースもあります。こうした場合、任意整理の効果が限定的になる可能性がありますので、弁護士と相談のうえ、個人再生や自己破産も含めた選択肢を検討することが大切です。

任意整理の手続きの流れや他の選択肢との比較については、債務整理の選び方(任意整理・個人再生・自己破産)もあわせてご覧ください。


返済中に滞納するとどうなる?期限の利益の喪失に注意

任意整理後の返済中に滞納が生じた場合、「期限の利益の喪失」が問題になります。

期限の利益とは、まだ支払期日が来ていない分の債務について「まだ払わなくていい」という債務者側の権利です。和解書には、多くの場合「2回以上支払いを怠ったときは、残額を一括で請求できる」という内容の条項が含まれています。

つまり、2回分の返済が滞ると、残りの全額を一括で請求されることがあります。

ただし、和解書の内容によっては1回の滞納で喪失となる場合もあります。「2回目が来るまでは大丈夫」とは考えず、返済が難しくなった際は早めに弁護士に連絡することが重要です。


返済中に支払えなくなったら、どうすればいいか

生活状況の変化(収入の減少・病気・失業など)によって、任意整理後の返済ができなくなることがあります。こうした場合の対処法を整理します。

まずは弁護士に早めに連絡してください。

「払えなくなった」と思った段階で、できるだけ早く担当弁護士に連絡することが大切です。状況によっては、再度の任意整理(和解条件の見直し)が可能な場合があります。

個人再生・自己破産への切り替えを検討する場合もあります。

収入の状況が著しく悪化し、任意整理での返済継続が難しくなった場合は、個人再生や自己破産への切り替えを検討することがあります。任意整理と個人再生・自己破産の信用情報への影響期間の違いについては、自己破産と個人再生、ブラックリストの期間は実は同じですで詳しく解説しています。


よくあるご質問

Q1. 任意整理後、返済期間を途中で変更できますか?

原則として、和解成立後に返済期間を延ばすことは難しい状況です。和解書で決めた条件が債権者との合意内容になるためです。ただし、収入の減少など生活状況が大きく変わった場合、早めに担当弁護士に相談することで、債権者との再交渉が可能なケースがあります。放置すると期限の利益を喪失するリスクがありますので、支払いが難しくなってきたと感じたら、すぐにご相談ください。

Q2. 繰り上げ返済はできますか?

はい、一般的には可能です。手元に余裕資金が生まれた場合に繰り上げ返済を行うと、完済を早めることができます。

ただし、注意点があります。たとえば「今月は余裕があるので2か月分まとめて支払いたい」という場合、翌月の支払いが免除されるわけではありません。あくまで最終回の返済が繰り上がる(=完済が早まる)という扱いになります。

和解書で定めた毎月の返済スケジュールは変わらないため、「先払いしたから来月は休んでいい」と判断してしまうと、滞納扱いになるリスクがあります。余裕のある月に多めに支払う場合は、事前に担当弁護士に確認のうえ進めてください。

Q3. 返済期間が5年を超えることはありますか?

交渉の結果によっては、5年を超える場合もあります。ただし、これは例外的なケースであり、すべての債権者が応じてくれるわけではありません。5年を超える分割払いを希望する場合は、弁護士が債権者の方針を見極めながら交渉します。

Q4. 返済期間中、クレジットカードや新たな借り入れはできますか?

任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます(完済後約5年間)。この期間中は、新たな借り入れやクレジットカードの利用・新規作成は原則として困難になります。任意整理の場合は返済期間が3〜5年になるので、完済からさらに5年間は信用情報が回復しない点も頭に入れておく必要があります。

Q5. 任意整理した相手の会社には、後で再び借り入れできますか?

信用情報が回復した後も、任意整理を行った債権者には独自の社内情報(内部情報)が残ることがあります。そのため、信用情報機関の情報が削除された後も、その会社からの借り入れが難しいケースがあります。


弁護士としてお伝えしたいこと

任意整理は、返済の見通しが立つ方にとって有効な手続きです。ただ、私が15,000件を超える案件を通じて感じるのは、「返済期間を延ばせば何とかなるだろう」という見通しで任意整理を選ぶことのリスクです。

返済期間を5年に延ばしても、毎月の返済がやはり苦しいという状況は少なくありません。特に、銀行のカードローン残高が大きい場合、利息のカット額が小さいため、任意整理をしても毎月の負担がほとんど変わらないケースもあります。

こうした状況では、個人再生や自己破産のほうが、実質的な生活再建につながることがあります。「自己破産はしたくない」というお気持ちはよく理解できます。しかし、無理な返済を続けることで生活が追い詰められるリスクをきちんと考えたうえで、手続きを選んでいただきたいと思います。

信用情報への影響については、CIC・JICCでは自己破産・個人再生ともに5年程度ですが、KSC(全国銀行個人信用情報センター)では自己破産・個人再生ともに7年間記録が残ります。また、起算点は手続きの種類によって異なるため、実質的な影響期間には差が生じることがあります。詳しくは自己破産と個人再生、ブラックリストの期間は実は同じですをご覧ください。手続きの選び方については、まず弁護士に状況を話していただいたうえで一緒に考えるのが一番です。


まずは状況を整理することから始めましょう

任意整理の返済期間は、法律で固定されているわけではなく、あなたの収支状況と債権者との交渉によって決まります。「3年は無理だけど、5年なら払えそう」「それでも厳しい」そうした現実を、弁護士と一緒に確認することが最初の一歩です。

あゐ法律事務所では、相談時に収入・支出・借入状況を丁寧に確認したうえで、返済の見通しを一緒に立てます。任意整理が向いているのか、他の手続きのほうが合っているのかも、実務経験から率直にお伝えします。

まずはお問い合わせください。初回のご相談は無料です。


あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士たけうちよしじ
大阪弁護士会所属

【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。

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