コラム
2026/04/05 2026/04/02

自己破産と個人再生、ブラックリストの期間は実は同じです

法律の専門家があなたの疑問にお答えします


「自己破産のほうが傷が深い」と思っていませんか?

「自己破産は信用情報に長く残るんですよね?」
「個人再生のほうがブラックリストへの影響が短いって聞きました」
「だから、できれば自己破産は避けたくて…」

債務整理を検討されている方から、このようなご相談をよくいただきます。

結論からお伝えすると、自己破産と個人再生で、信用情報への登録期間に大きな差はありません。 どちらも、信用情報機関によって概ね5年から7年の範囲に収まります。

「自己破産のほうが傷が深い」というイメージは、多くの場合、誤解に基づいています。この記事では、信用情報機関ごとの登録期間を正確に整理し、手続き選びの判断材料にしていただけるよう解説します。


そもそも「ブラックリスト」とは?

「ブラックリスト」という言葉は、正式な用語ではありません。債務整理をはじめとする金融事故の情報が信用情報機関に登録された状態を、俗にそう呼んでいます。

信用情報機関には、以下の3つがあります。

CIC(シー・アイ・シー): 主にクレジットカード会社・信販会社・携帯電話会社が加盟しています。クレジットカードの審査や携帯電話の分割払いの際に照会されることが多い機関です。

JICC(日本信用情報機構):主に消費者金融・カードローン事業者が加盟しています。キャッシング・カードローンの審査で照会されることが多い機関です。

KSC(全国銀行個人信用情報センター): 一般社団法人全国銀行協会が運営する機関で、銀行・信用金庫・信用組合などが加盟しています。住宅ローンや銀行カードローンの審査に直結する機関です。

これら3機関は独立していますが、CRIN(クリン)と呼ばれる情報共有ネットワークを通じて、延滞・債務整理などの重要な事故情報を相互に共有しています。そのため、1つの機関に登録されると、他の機関への審査にも影響が生じることがあります。


機関別・手続き別の登録期間

信用情報機関ごとに、登録される情報の内容と期間が異なります。以下の表で整理します。

自己破産の場合

機関 登録期間 起算点
CIC 約5年 会員会社がCICに免責許可決定を確認・報告した日
JICC 約5年 当該事実の発生日(実務上は免責確定日とされることが多い)から5年以内
KSC 7年 破産手続開始決定日

個人再生の場合

機関 登録期間 起算点
CIC 約5年 再生計画に基づく返済が完了した日(完済日)。なお、個人再生の申請・手続きの事実そのものはCICには登録されません
JICC 約5年 再生計画に基づく返済が完了した日(完済日)。ただし契約日により異なる場合があります
KSC 7年 個人再生手続開始決定日(官報情報として登録)

任意整理の場合(参考)

機関 登録期間 起算点
CIC 約5年 完済日。なお、任意整理の申請・手続きの事実そのものはCICには登録されません
JICC 約5年 完済日(契約日によって異なる場合があります)
KSC 約5年 代位弁済がある場合は代位弁済日から。任意整理の事実自体は登録されない場合があります

起算点の違いが重要です

表を見ていただくと分かるように、登録期間の「年数」そのものよりも、いつから数え始めるか(起算点)が、実際の影響の大きさを左右します。

自己破産の起算点

CICでは、債権者(会員会社)がCICに免責許可決定を確認・報告した日が起算点です。免責決定から会員会社の報告まで数週間から数か月のタイムラグが生じることがあります。弁護士に依頼した場合は、免責確定後に債権者へ通知を行い、速やかな報告を促すことができます。

JICCでは、「当該事実の発生日」から5年以内と定められており、実務上は免責確定日とされることが多いとされています。いずれにせよ、CIC・JICCでの起算は自己破産手続きが終了した前後の時点となります。

KSCでは、免責決定ではなく破産手続開始決定日が起算点です。手続開始の早い時点から7年のカウントが始まるため、実際には手続きの流れ次第でCIC・JICCの抹消時期と大きく変わらないことがあります。

個人再生の起算点

CICとJICCでは、再生計画に基づく返済が完了した日(完済日)が起算点です。個人再生では3年から5年の返済期間が設けられますので、返済が終わってから5年間という計算になります。

なお、CICについては、個人再生の申請・手続きの事実そのものは登録されません。CICに残るのは返済状況などの取引情報です。ただし、延滞があった場合はその情報が残ります。

KSCでは自己破産と同様、手続開始決定日から7年間の官報情報として登録されます。

実質的な影響期間を比較すると

個人再生で3年の返済計画を完遂した場合、CIC・JICCの起算は完済日ですので、手続開始から数えると概ね8年程度(返済3年+完済後5年)の影響期間になります。

自己破産の場合、CIC・JICCの起算は免責決定日ですから、手続開始からおおむね5〜6年の影響期間となります(手続期間+5年)。

信用情報の影響という観点だけで見ると、むしろ自己破産のほうが個人再生よりも期間が短くなる場合がある、ということになります。


「自己破産のほうが傷が深い」という誤解はなぜ生まれる?

いくつかの理由が考えられます。

①以前は10年という情報が出回っていた
KSCの官報情報の登録期間は、以前は10年でした。2022年11月に7年に短縮されましたが、古い情報がいまも検索結果に残っているため、「自己破産は10年」と誤解されることがあります。

②官報への掲載
自己破産と個人再生は、手続きの開始と終了が官報に掲載されます(任意整理は掲載されません)。官報掲載そのものは信用情報への登録とは別の話ですが、「官報に載る=長く記録が残る」と混同されることがあります。

③「個人再生なら財産を守れる」という別のメリットとの混同
個人再生は住宅や車などの財産を手放さずに済む場合があります。そのメリットが「自己破産より有利」というイメージと結びつき、信用情報の面でも有利と思われることがあります。


どちらの手続きを選ぶべきか?

信用情報への登録期間だけを根拠に、自己破産か個人再生かを選ぶのは、適切な判断とは言えません。

手続きの選択に影響する主な要素は、以下のとおりです。

返済能力の有無
個人再生は、圧縮された借金を3年から5年かけて返済し続ける手続きです。安定した収入があることが必要です。返済の見込みが立たない場合には、自己破産のほうが適しています。

財産の状況
自己破産では、一定額以上の財産(預金・不動産など)は処分の対象になることがあります。住宅を守りたい場合には、個人再生の住宅資金特別条項の活用を検討します。

借金の総額と内容
税金・養育費・罰金などは、どの手続きでも免責・減額の対象にはなりません。借金の内訳によって、最適な手続きが変わります。

これらを総合的に判断するためには、弁護士への相談が欠かせません。信用情報への影響期間は、あくまで判断要素の一つです。

手続きの選び方については、「多数の債務整理案件を対応した弁護士が教える任意整理・個人再生・自己破産の選び方」もあわせてご参照ください。


よくあるご質問

Q1.信用情報に登録されると、具体的にどんな影響がありますか?

登録期間中は、クレジットカードの新規作成、消費者金融・銀行カードローンの申込み、住宅ローン・自動車ローンの申込みなどの審査が通らない状態になります。また、携帯電話端末の分割購入もできなくなる場合があります。ただし、生活に必要な銀行口座の開設や、デビットカードの利用には影響しません。

Q2.登録期間が過ぎたら、自動的に情報は消えますか?

原則として、各信用情報機関の保存期間が経過すると自動的に抹消されます。ただし、債権者(クレジット会社や消費者金融など)が速やかに情報を更新しない場合、抹消が遅れることがあります。免責が確定した際には、債権者に対して免責の事実を通知し、信用情報の更新を求めることが重要です。弁護士に依頼した場合は、この対応も含めてサポートします。

Q3.信用情報機関への登録が消えたら、すぐに審査に通りますか?

必ずしもそうではありません。信用情報機関の記録が抹消されても、過去に取引があった金融機関の社内記録(社内ブラック)は残ることがあります。過去に債務整理をした金融機関やそのグループ会社への申込みは、審査が通りにくい状態が続くことがあります。また、情報が消えた直後は信用履歴(クレヒス:クレジットヒストリーの略)がない状態になるため、まず少額のクレジット取引から実績を積み上げていくことをお勧めします。

Q4.自分の信用情報を確認する方法はありますか?

各信用情報機関への開示請求で確認できます。CICはスマートフォン・パソコンからのオンライン開示に対応しています。JICCはスマートフォンアプリ・郵送で開示請求できます。KSCは郵送での請求が基本です。手続きの前後に一度確認しておくことで、情報が正しく更新されているかを把握できます。

Q5.家族の信用情報には影響しますか?

信用情報は個人単位で管理されます。あなたが債務整理をしても、原則として家族の信用情報には影響しません。ただし、家族が連帯保証人になっている場合は、その債務について家族自身に返済義務が生じます。

家族への影響については、「債務整理を弁護士に頼むと家族や会社に知られますか?」もあわせてご覧ください。


弁護士としてお伝えしたいこと

「ブラックリストへの影響を最小限にしたい」というお気持ちは、よく理解できます。信用情報が傷つくことへの不安は、相談に来られる方の多くが抱えているものです。

ただ、15年以上の実務経験から正直にお伝えすると、信用情報の登録期間を根拠に手続きを選ぶことは、あまりお勧めできません。

理由はシンプルです。どの手続きを選ぶかは、信用情報の問題ではなく、あなたの返済能力・財産状況・借金の内訳によって決まるべきものだからです。

信用情報の傷は、時間が経てば必ず回復します。しかし、自分に合わない手続きを選んでしまうと、返済が途中でできなくなったり、本来守れた財産を失ったりするリスクがあります。

自己破産と個人再生で信用情報への影響期間に大きな差はありません。だからこそ、信用情報以外の要素をきちんと比較した上で、最適な手続きを選んでいただきたいと思います。

一人で抱え込まず、まずはご相談ください。


まずは状況を整理することから始めましょう

自己破産と個人再生、どちらが自分に合っているかは、借金の総額・内訳・収入・財産の状況など、個別の事情によって異なります。「信用情報への影響が同じなら、どちらを選べばいい?」というお悩みも、ご相談の中でいっしょに整理することができます。

あゐ法律事務所では、初回相談は無料です。淀屋橋駅から徒歩すぐの事務所で、平日夜間・土日のご相談にも対応しています。弁護士費用の分割払いもご相談ください。

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あゐ法律事務所 弁護士 竹内欣士たけうちよしじ
大阪弁護士会所属

【免責事項】本記事は、債務整理に関する一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や個別事情により結論が異なる場合があります。具体的なご判断や手続の選択については、必ず弁護士にご相談ください。

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